ロマンス
~ピアノとチェロの夢の世界~
[ 2017.04.19.発売 ]
Beltaレコード / YZBL-1048 ¥2,500(税込)
チェロ & ピアノ:1,3,6,8,11,12
ピアノ:2,4,5,7,9,10
◆収録曲 & 試聴◆
「ロマンス」によせて
◆家永勝(音楽評論)
幼少期からフランスで音楽教育を受けた宇宿真紀子と直彰姉弟で結成するレ・クロッシュのCDアルバムが、本作で5枚目となった。
デビュー・アルバム『夢のあとに』が2005年12月リリースだったから、早いものでそれからもう12年になろうとしている。
兄弟姉妹でアンサンブル・グループを結成する例は決してめずらしくはないが、それぞれの生活基盤の変化に伴って長期継続の困難になる場合も多い。
また、身内同士であるがゆえの甘えを排するために、敢えて別々の道を選ぶケースも見受けられる。
そうした中にあって、この姉弟デュオは、一つ屋根の下に過ごした少年少女時代とは異なる生活基盤に立ちながら、音楽という共通の言語で結ばれてデュオ活動を継続し、着々と成長を遂げてきた。
きっと、第三者からは想像もつかない困難を克服してのことであろう。
今回の『ロマンス』は、二人の音楽的中枢をなすフランスものを核としつつ、マルティーニの『愛の喜び』、トスティの『夢』、パガニーニの『ロッシーニの“モーゼ”の主題による変奏曲』といった歌にあふれるイタリアものも収録され、合間にショパンやブラームスのピアノ独奏曲も組み入れられて、変化にもとんだ選曲となっている。
デュオ作品では、単に息が合うばかりではなく、互いに対等の主張を繰り広げて妥協のない丁々発止のアンサンブルを繰り広げ、ピアノのソロでは和声の推移の綾を大切にしながら、繊細な歌心をもって流麗な旋律が歌われている。